デザインの依頼(以下、プロジェクト)には相応の費用が発生します。初めてのプロジェクトで相場もわからない、失敗のリスクも最小限に抑えたいという場合、お客様が複数の業者から相見積もりを取ることは当然の選択です。しかし、取り寄せた見積もりの内容が各社で異なり、比較・評価が難しくなることもよくあります。

 

このような場合、デザイン業者に要件が適切に伝わっていない可能性が考えられます。もちろん、お客様のニーズをしっかりとヒアリングすることは業者側のスキルを示す重要なポイントです。しかし、相見積もりの段階では十分なコミュニケーションが難しいことも事実です。

 

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結論、「提案依頼書(RFP)」を活用し、各業者に同じ条件で依頼することで、業者の比較・評価が容易になります

見積りの判断が難しくなる最も一般的な理由は、要件が曖昧で漠然と口頭で伝えられていることです。これを解決するのが「提案依頼書」です。提案依頼書とは、お客様自身でプロジェクトの要望を整理した書類のことで、英語では「Request For Proposal」と訳されることから「RFP」とも呼ばれます。事前に伝えるべき内容が明確になり、各業者に要件がもれることなく適切に伝わります。また、取り寄せた見積もりを効率よく比較・評価する手助けにもなります。

 

 

提案依頼書を作成する場合としない場合の違い

 

比較図:提案依頼書を作成する場合としない場合の違い

 

なお、提案依頼書を作成する際は、関係部署の担当者や決裁者との事前ヒアリングがおすすめです。現場の意見を取り入れることで、後々の社内合意の形成がスムーズになるでしょう。

 

 

提案依頼書に記載すべき項目

プロジェクトの概要

プロジェクト全体の要点を記載します。第三者でも理解できるように、全体像が把握できる情報を記載します。特に背景と課題の項目は重要で、情報を列挙する際に優先順位を設定することで伝わりやすくなります。次に納期や予算については、「なるべく早く」や「安く」といった表現は避け、具体的な希望を明記するべきです。

以下に最低限記載すべき項目をリストアップします。

 

  • プロジェクト名(例:弊社ホームページのリニューアル など)
  • 会社情報(例:URL、事業内容、ターゲット、強み、競合 など)
  • 目的(例:求職者に向けた企業イメージの向上 など)
  • 背景(例:人手不足のため採用を強化したい、これまで対象にしてこなかった新卒者にアプローチしたい など)
  • 目標(例:月間の面接数〇件、来年4月までの採用数〇人 など)
  • 課題(例:現状ホームページはページ数と情報量が少ない、会社名で検索しても上位に出てこない など)
  • 希望納期(例:〇月〇日、契約から〇ヶ月以内 など)
  • 予算の上限(例:〇〇万円まで、税込〇〇万円 など)
  • 支払い方法(例:月末締め翌月末払い など) …など

 

提出時に伝えてほしい情報

求める情報を明確に指定することで、評価基準のブレを少なくすることができます。提出書類の書式は指定しなくても構いません。これらの書類の完成度も評価の一要素となるからです。

 

  • スケジュール
  • 概算見積書
  • プランシート(ターゲット設定、サイトマップや総ページ数、原稿作成の方法、撮影の有無、システム構築の有無、セキュリティ など)
  • 弊社で準備するもの
  • 納品方法
  • 納品後のサポート
  • 相手側担当者の連絡先 …など

 

提出に関するその他の情報

提案書の提出は直接対話する貴重な機会です。できる限り対面で、そして提案内容の説明を受けることをおすすめします。また、依頼先の選定結果を全業者に伝えるかどうかは依頼者側の判断ですが、誠実な対応が望ましいです。

 

  • 提出期限(〇月〇日〇時まで)
  • 返答期日(依頼先の決定日〇月〇日)
  • 提出方法(対面打合せ、メール提出 など)
  • 提出先(担当者名・電話番号・メールアドレス) …など

 

提案依頼書サンプルのダウンロード

上記内容を盛り込んだ提案依頼書のサンプルをWordファイル(ファイル名:RFP_sample.docx)で無料配布いたします。自由にご活用ください。

 

イメージ画像:提案依頼書サンプル

 

提案依頼書のサンプルをダウンロードする(Wordファイル)

 

 

相見積もり・提案依頼書でよくある質問

Q1. 相見積もりは、何社くらいに声をかければよいですか?

当事務所がお客様にお聞きした限りでは、3社が目安という印象です。

Q2. 相見積もりであると相手に伝えるのは失礼ですか?

失礼ではありませんし、むしろ伝えるべきと考えます。相見積もりの必要性をお伝えいただき、適切なコミュニケーションを取っていただければ何も問題はありません。当事務所では、今回は見送られることになった場合でも、その旨をお伝えいただければ、次の相見積もりにも対応させていただきます。

Q3. 見積もりと一緒にデザイン提案もしてほしいです。

デザイン提案を希望される場合、提案依頼書の内容だけでは情報が不足しています。デザインに関する要望や参考資料などを依頼者側で別途まとめる必要があります。

なお、当事務所ではデザイン提案を伴う相見積もり(デザインコンペティション)の参加はお断りしています。

良くある質問「デザインを見せてもらってから依頼するか決めてもいいですか?」を見る

Q4. 相場が知りたくて相見積もりを取っているのに、なぜ提案依頼書に予算を書くのですか?

適正な相場を知らない場合でも、会社として出せる予算の上限を示せば問題ありません。その予算で実現可能かどうかは業者側に判断させ、辞退の選択肢を用意しておくことも、比較・評価を効果的に行うひとつの方法です。

 


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